現在では盆踊りは夏祭りの代表格として知られていますが、なぜ盆踊りをするようになったのでしょうか?今回は、日本の代表的な民族芸能である盆踊りについてご紹介します。
盆踊りとは
盆踊りとは、本来お盆にかえってきた祖霊を慰める霊鎮め(たましずめ)の行事です。お盆には、お墓参りやお供え物、迎え火や送り火などで、ご先祖をもてなしますが、盆踊りもその1つです。一方で、盆踊りには娯楽的な要素も含まれています。地域の結びつきを深めたり、帰省した人々の再会の場になったりしていました。盆踊りには長い歴史があり、全国的にも有名な徳島阿波踊りや郡上(ぐじょう)踊りなど、多くの観光客が集まるような盆踊りから、地域に親しまれている盆踊りまで、全国各地で楽しまれています。
そんな盆踊りは、大きく2つに分けられます。作曲者や振り付け者が分からない伝統系と、作曲者が明瞭な現代系の2種類です。伝統系は、古くより踊られていて現在も特定地域で伝承されているものや、伝統に根ざしながら近代の変化を取り入れて進化したものまであります。阿波踊りや郡上踊りなどはこちらに当てはまります。一方、現代系は地域の名物をおりこんで作られたものや、歌謡曲や演歌などにあわせて踊るもの、アニメ番組から生まれたものなどがあります。東京音頭などはこちらに当てはまります。
お盆は新盆をベースにした7月15日、旧暦7月15日をベースにしていて毎年変動するもの、折衷型の8月15日の主に3つ存在します。現在ほとんどの地域で8月に行われる旧盆が主流となっています。7月15日を中心として行われる新盆は東京をはじめとした一部の地域のみです。他にも二十日盆や晦日盆なども存在します。
盆踊りの歴史・由来
盆踊りの起源には諸説ありますが、もともと仏教行事であったという説が濃厚です。平安時代の僧侶が念仏を広めるために、念仏をリズミカルに唱え、その念仏に合わせて踊る「踊念仏」が誕生しました。この踊りを一遍上人が全国に広めました。やがて、念仏を唱える人と踊る人に分かれる念仏踊りへと変化し、古くからあった盂蘭盆(うらぼん)(いわゆるお盆のこと)と結びつき、精霊を慰めたり送り出すための行事になっていきました。多くの地域では、16日が盆明けということもあり、15日の晩に盆踊りが行なわれるようになりました。
室町時代の盆踊りは、人を驚かす趣向があり、派手なものでした。しかし、江戸時代になると地域の人々との交流の場として、娯楽的な要素が強くなっていきました。この当時は、男女が一同に集まる機会が少なかったこともあり、盆踊りが男女の出会いの場としての機能をもつようになりました。明治時代になると、風紀を乱すなどの理由から警察による取り締まりが行われ、盆踊りは一時衰退します。この頃に炭坑節などの産業関連の盆踊りが誕生しています。大正時代には日本の文化が見直されたことで盆踊りが復活し、全国各地で再び開催されるようになり、現在まで受け継がれています。
盆踊りの踊り方
踊り手が決められている場合もありますが、基本的には誰でも参加できるものです。主にやぐらを囲んで踊る「輪踊り」と、町中を流して踊る「流し踊り」があります。輪踊りは飛び入り参加しやすいものです。ほとんどの盆踊りは足の動きを重視しています。これは、下半身の跳躍運動が神送りの意味をもつためとされています。また、人間が地を踏む動作には、霊を封じ込める鎮魂の意味も込められています。