お正月に向けての大きな行事 餅つきについて

今では減ってきましたが、日本の年末の風物詩といえば餅つき。
そもそも餅つきとはなぜ行われるようになったのでしょうか?
今回は、餅つきの由来や意味についてご紹介します。

餅つきの由来・歴史
日本では古来より稲作信仰があり、稲は「稲魂(いなだま)」や「穀霊(こくれい)」が宿った神聖なものだと考えられてきました。中でも稲から採れる米で作られた餅は、稲の神様を表すもので、神が宿る特別な食べものとして敬われています。五穀豊穣を願い、人々の生命力を強める食べ物である米ではなく、さらにひと手間かけて作り上げる餅を神様にお供えするようになりました。餅には新しく生命を再生させる霊力があると信じられていたため、祝い事や特別な日であるハレの日に、餅つきをするようになっていきました。餅つきは一人ではできないため、連帯感を高め、喜びを分かち合うという社会的意義もあると言われています。

餅は、お正月には鏡餅、桃の節句には菱餅、端午の節句には柏餅といったように、節句ごとに餅が作られ、行事食としても定着していきました。中でも日本の行事文化の中心でもあるお正月は、お餅が重要な役割を果たすことから、年末に餅つきをするようになったとも言われています。


お正月の鏡餅
正月飾りの一つである鏡餅は、平たくて丸く、どっしりとした形をしています。その形は一説には人の魂がこもる心臓を模したと言われています。また社会や人間同士の関係が円満であることをあらわしているとも言われています。平安時代になると、満月を拝むと望みが叶うと信心され、神様に供えた丸い餅を拝むようになりました。

そんな鏡餅には特別な意味があります。古来より、新年を司る「年神様」が元旦にやってきて、新年の魂(年魂)を授けてくれると考えられてきました。この年魂の象徴が鏡餅と言われています。また三種の神器のひとつ、銅鏡を神聖な餅で表すようになり、鏡餅と呼ばれるようになりました。

この年神様が依り付いた餅には年神様の魂が宿るとされ、その餅を家族に分け与えたのが「お年玉」のルーツと言われています。そのお餅を入れたお雑煮を食べることで、新年の力がつくとされてきました。お年玉の形は変わりましたが、鏡餅を雑煮にしていただくのは変わらず受け継がれています。

餅つきをする日と道具
正月飾りと同様に、お正月に向けた餅つきでは縁起を担ぐようになりました。29は「二重苦」につながることや、「苦餅」「苦持ち」となるなどの理由から、12月29日は避けられています。一方で、29を「福が来る」と解釈する地域もあります。また大晦日は一夜飾りとなることから、鏡餅などの正月飾りを30日までに飾る風習があるため、31日に餅をつくのは縁起が悪いとされています。

餅つきに欠かせない道具のは、それぞれ女性男性を表していると言われ、子宝に恵まれる、子孫繁栄、家の繁栄の象徴ともされています。風情ある餅つきですが、最近は電動の餅つき機が販売されていることから、臼と杵を持っていないという家庭も増えてきています。その一方で餅つきの道具をレンタルできるサービスもあり、風情ある餅つきを手軽に体験できると利用する人が増えています。