「春の七草」といえば七草粥にして食べられることもあり、広く知られていますが、実は秋にも七草が存在します。
今回は秋の七草についてご紹介します。
秋の七草の由来
春の七草は七草粥にして無病息災を祈ったり、正月料理で疲れた胃を休めたりするものとして知られていますが、秋の七草は、祭事に使われたり食したりすることはありません。その美しさを観賞し、秋の訪れを感じるものです。そんな秋の七草は万葉集に収められている山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ2つの歌が由来と言われています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」
朝貌については諸説あり、現在では桔梗が定説となっています。秋の七草は、見て楽しめるだけではなく、薬用など実用的な草花として親しまれているものが選ばれています。
秋の七草の花言葉
✿萩(はぎ)・・・「草かんむり」に「秋」と書く、秋を代表する花の1つです。お供えする「おはぎ」の由来にもなっています。花言葉は、思案、内気、想い、前向きな恋、柔軟な精神です。
✿尾花(おばな)・・・「すすき」の別名で、動物の尾に似ていることが名前の由来と言われています。花言葉は、勢力、生命力、活力、隠退、悔いなき青春、心が通じるです。
✿葛(くず)・・・葛湯や葛餅など親しみ深い植物の1つです。根を乾燥させた「葛根」は風邪や胃腸不良などの際に治療薬として用いられます。花言葉は、治療、活力、根気、努力、芯の強さ、恋のため息です。
✿撫子(なでしこ)・・・日本女性の清楚さを表現した「大和撫子」の「撫子」で、可憐な淡紅色の花を咲かせます。「枕草子」で、清少納言は撫子の美しさは第1級品であるとしています。花言葉は、純愛、無邪気、思想、貞節、才能、大胆、いつも愛してです。
✿女郎花(おみなえし)・・・優雅で美しい花として古代の人に親しまれた花です。女郎花の根と全草には解毒・鎮痛・利尿などの作用があります。花言葉は、美人、親切、はかない恋、心づくし、約束を守るです。
✿藤袴(ふじばかま)・・・花の色が淡紫色で、弁の形が筒状で袴に似ていることから名づけられました。乾燥させると桜葉と同じ良い香りがするため、洗髪や香水にも用いられています。絶滅危惧種に指定されているため、野生の藤袴はほとんど見る事が出来ません。花言葉は、遅延、躊躇、思いやり、あの日を思い出す、優しい思い出です。
✿桔梗(ききょう)・・・形の良さから多くの武将の家紋に用いられており、中でも明智光秀の水色桔梗の家紋は有名です。根を乾燥させ粉末にしたものは、痰や咳の薬として用いられています。こちらも絶滅危惧種に指定されています。花言葉は清楚、気品、従順、変わらぬ愛、優しい温かさです。
春の七草と同様に「ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ オバナ・ナデシコ」といった、5・7・5・7のリズムで覚える方法や、語呂合わせで覚える方法があります。野生では目にする機会が少ない七草も、生花店では見つけることができます。今年は秋の七草を飾ってみてはいかがでしょうか?