一般的に冬にかかることが多い風邪ですが、夏に流行するウイルス性感染症「夏風邪」があることをご存知ですか?今回はこの時期に流行する夏風邪についてご紹介します。
夏風邪とは
風邪をひいてしまう主な原因はウイルスによるもので、その数は200種類以上と言われています。そのウイルスの多くは、低温で空気が乾燥した状態を好むため、風邪は冬に多くかかります。その一方で夏風邪を引き起こすウイルスは、高温で湿度の高い環境を好みます。代表的なものがエンテロウイルスとアデノウイルスです。「エンテロ」は「腸」という意味で、発熱、のどの痛み、腹痛、下痢を引き起こします。「アデノ」は「のど」という意味で、のどの痛み、苦しくて激しい咳、発熱、結膜炎を引き起こします。アデノウイルスはインフルエンザウイルスの次に人の体から検出されることが多いウイルスです。冬の風邪は飛沫感染が多いのに対し、夏風邪は経口感染が多いのも特徴。これらのウイルスが夏風邪の代表的な症候である「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱」などを発症します。
また、夏風邪は暑い夏の時期に体調不良になることから夏バテと勘違いされやすい病気です。夏バテの場合は、疲労感やだるさ、食欲不振にはなりますが、熱は出ません。微熱でだるさを感じたら夏風邪の可能性が高いといえます。
夏風邪の対策と予防法
クーラーなどで室内と室外の気温差・湿度差が大きいと自律神経が乱れ、体温調節が出来なくなり免疫力が低下して風邪をひきやすくなります。夏風邪の対策として水分補給は必須です。特にスポーツドリンクなど塩分を含むものが効果的。家庭では室内の冷え過ぎに注意し26~28℃に設定したり、お腹にタオルケットをかけたり、睡眠を十分にとったりしましょう。
基本的な予防法として、外出先から帰ったら手洗いとうがいはもちろんですが、目薬もさしましょう。あまり知られていませんが、夏風邪のウイルスは目から感染することもあります。表面を潤して洗い流す目的で目薬をさしましょう。また寝室の湿気とダニを取ることも効果的です。夏風邪のウイルスは湿度の高い環境で繁殖しやすいため、湿気を取り除くことで、ウイルスの繁殖を防ぐことができます。布団の下に除湿シートを敷いたり、ダニ取りシートやダニ防止グッズを使ったりして予防しましょう。家庭内に夏風邪をひいている人がいるときは、タオルを共有しないようにしましょう。
夏風邪は、夏バテと思い発見が遅れる場合が多くあります。発見が遅れると症状が長引いてしまうので、調子が悪いと感じたら早めに病院で診てもらいましょう。また、日頃から生活習慣に気を付け、風邪をひきにくい体づくりを心がけましょう。